8月16日(月曜日)・17日(火曜日)の2日間にわたり、(公財)日本武道館、(公財)全日本空手道連盟、(公財)全国高等学校体育連盟空手道専門部、全国中学校空手道連盟の主催、スポーツ庁の後援で、「第12回全国空手道指導者研修会」が開催されました。
平成24年(2012年)から完全実施された中学校武道必修化の充実に向けて、中学・高校の先生方を対象に、空手道の授業指導法および専門的な知識・技術の充実を図っていただくことを目的としています。
今回は、3日間だった日程を2日間に短縮し、オンライン配信(ZOOM)となり、北海道から九州まで、中学、高校、特別支援学校などから40名の参加がありました。
主催者挨拶で、全空連の栗原茂夫副会長は、「オリンピック空手競技は3日間にわたって開催され、多くのみなさんがご覧になったと思います。結果は金、銀、銅メダルでした。選手、コーチ、当連盟が力の限り戦った結果であります。32個のメダルが20の国と地域に分散したことは、 空手道が世界的な競技スポーツである証左だといえます。
この機会に、多くの学校に空手道を採用していただけるよう、みなさんのお力をお借りして努力していきたいと思います」と述べました。
「中学校武道指導実践法」として、「空手道授業の現状」を岩城公二講師、「特別支援学校における空手道授業」を佐藤賢一講師、「団体形演武」を野中史子講師、「創作組手」を小山正辰講師が、リモートで講義を行いました。
日野一男講師による<安全対策>「空手道における安全配慮と憲章の求める指導者像」では、「空手の指導者は、(これまで続いている)事故訴訟ゼロを守る義務がある」と強調し、「安全の上に積極的な指導があり、安全でなければそれは横暴な指導である」と説明。「信頼関係がないと“注意”も聞き逃されてしまう」と、指導は信頼関係が土台になると語りました。
「授業支援パッケージについて」を説明した全空連の日下修次理事・事務局長は、参加した先生方に謝意を述べ「当初124校でスタートした授業実施校が現在は448校にまで増えたのは、空手道では道具が不要、男女共習が可能などの利点が認められたからです。評価のポイントを明確にしたことで、より導入しやすくなったと思います。また障がいがある生徒の自立支援に役立つということで、支援学校用の教材も鋭意製作中です」と述べました。
「基本技術」の初級者向けは竹見国雄講師、中級者向けは井下佳織講師が担当しました。
質疑応答で、「体育館シューズを履いて行う場合の注意点は?」という質問に、(1)すり足は足裏を意識して床から離して巻き込みを防ぐ、(2)座礼は足首が痛いので立礼に変えてもOK、という説明がありました。また大声が出せない場合は「(マスク着用で)気合いを強めの呼気に変える」など代案が示されました。
閉講式で、全空連の有竹隆佐専務理事は、「オンライン配信でも、みなさんがしっかり研修されたことは嬉しい限りです。ぜひ、空手道の良さを知っていただき、教育の中で発展させていかれるよう、大いに期待します」と挨拶しました。
基本技術(初級者向け)で座り方(左座右起)を解説する竹見国雄講師
基本技術(中級者向け)のテーマは『やさしく楽しい効果的な空手道授業』。空手の動きを使った筋トレ等を紹介する井下佳織講師
ZOOMのブレイクアウトルームで「基本形1」を練習し、団体形を発表(「基本形1〜3」は、全空連の指定形や流派の基本形とは違う「指導のための“基本形”」です)
「ZOOMを使って相手の動きを確認しながら学び合う姿が印象的でした。生徒たちもリモートでできるという可能性を感じました」(野中講師)
「基本形1〜3を身につけ、そこから攻防を3つ程度を選んで構成する創作組手で、技の理解を深めることができます。コロナ禍では、距離を十分にとった“エア組手”を提案します」(中央、小山正辰講師)
主催者と指導された講師の先生方
参加された先生方(1)
参加された先生方(2)